風水とは?
POINT
風水とは、長い歴史と経験に
裏打ちされた智慧
皆さん、風水って何だと思いますか?
最初に少しだけ、風水の基本的なことについてお話しさせてください。
風水は5,000年以上も昔の中国で発祥した環境哲学であり、自然と人々の暮らしをより良いものにするための智慧として受け継がれてきたものです。日本で風水と言えば「気学」や「九星占い」を思い浮かべる方も多いと思いますが、気学や家相を用いた風水と、中国に伝わる風水が大きく異なることは、日本ではまだあまり知られていないようです。
「風水」という言葉が
生まれたのはいつ?
風水という言葉が誕生したのは、中国の晋の時代に活躍した郭璞(かくはく・276~324年)によって伝えられた「葬経(そうきょう)」という古典書がはじまりだと言われています。風水という言葉が誕生する前、風水は「堪輿」(かんよ)、地理(ちり)、などと呼ばれていました。
風水の醍醐味は、
自然の「調和」にあります
中国の風水では、天・人・地の3つの「気」が調和することを大切にしています。
天とは、天体の動き、つまり暦の流れ(時間・タイミング)のことです。地とは、大地からのエネルギーを含んだ自然環境、場所、空間のことを指します。これらの天の気と、地の気に、人の気が加わり「調和」することで、自然からの恩恵を最大限に受けられることが、風水の理想形と言えるでしょう。
※今回のコラムでは、中国の風水の流派の一つ「巒頭派風水(らんとうはふうすい)」を基本的な考えとし、ご紹介させていただきます。巒頭派風水とは、地理、地勢、目に見える姿形に注目して吉凶の判断を行う風水術です。
伝統的な中国古来の風水は、大きく分けて2つの分野に大別されます。
1つ目は、陰宅風水と言って、亡くなった人を埋葬するために使う、お墓の風水です。
2つ目は、陽宅風水と言って、私たちが住む家やマンション、ビルなどが建つ土地、建物の吉凶を看るときに使う風水です。
皆さんが思い浮かべるほとんどの風水は、2つ目に挙げた「陽宅風水」の分野に入ります。
陽宅風水は、姿形から読み取ることができる「気」の存在や、時間の流れから読み取る吉凶など、「私たちが快適に暮らすためにはどうすれば良いか?」を教えてくれる判断方法の一つです。
目に見える姿形、
「巒頭(らんとう)」のはなし
このような玄関を見て、皆さんはどう感じますか?
この玄関を使う度に、無意識のうちに「うちの玄関は汚いな、使いづらいな。」と感じませんか?
このように、目に見える姿形のことを、風水では「巒頭(らんとう)」と呼んでいます。
巒頭は、時間や方位といった目に見えない存在とは違い、目に見える山、河、土地や建物、室内であれば間取りや家具、柱なども対象となるため、風水に詳しくない人でも分かりやすいのが特徴です。
では、玄関を美しく綺麗に整え、良い香りを漂わせ、生花を飾り、明るく広々とした空間にしていたら、そこに住む人はどんな気持ちになるでしょうか?
「うちの玄関は綺麗だなぁ、使いやすいなぁ。」という気持ちが無意識のうちに感じられ、気持ちが前向きになったり、お客様が来てくれる家になったりと、行動や運気が自然と良い方向に向かうのではないでしょうか。
環境がもたらす心理的作用を
うまく使おう
身の回りの住空間、環境を「風水」で整えることで、より快適な住まいを手に入れる。
より良い環境の中で暮らすことにより、家の気、人の気が自然に整い、結果的に運気が良くなっていく。それが、私が理想とする風水の活用法です。
巒頭にも室内の巒頭と、家外の巒頭がありますが、今回のコンテンツでは、室内の巒頭を主体として、どなたにでも判断しやすい初心者向けの風水をご紹介していきたいと思います。
【風水の基礎 ①】 「陰陽理論」
古い中国の思想において、自然界に存在する森羅万象は、陰と陽に分けられると考えました。
例えば、男性は陽で、女性は陰、昼は陽で、夜は陰、固いは陽で、柔らかいは陰、といったように、あらゆるものを相対的に表しているのが陰陽理論です。
上の図は「太極図」と言います。
左側の白い勾玉の形をしている方が陽(中にある黒丸は陰)を表し、右側の黒い勾玉の形をしている方が陰(中にある白丸は陽)を表しています。
この太極図が表しているのは、陰が極まれば陽に転じ、陽が極まれば陰に転じる、という概念です。
そして、それぞれの陰陽の中に、小さな黒丸、白丸があることから、陰の中にも陽があり、陽の中にも陰がある、ということが分かります。「どちらか一方に偏らない」、「完全に対立しているのではなく、互いが混じり合っている」という状態が上手く表現されている図です。
論語に出てくる孔子の言葉に、「過ぎたるは猶及ばざるが如し」という一節があるように、何事も偏り過ぎると病気になったり、物事が上手くいかなくなったりするので、「バランスが大切ですよ」と、この太極図が教えてくれています。
どちらか一方に偏らない状態、バランスを保つことを、「中庸」と言います。相反するものがあるからこそ、中庸という言葉が生まれます。ですから、陰が悪くて、陽が良い、といったような概念はありません。
陰にも、陽にも、それぞれに「役割」があり、どちらも必要なものです。風水においても、陰と陽の役割を理解し、上手くバランスを取りながら活用させることが大切です。
【風水の基礎 ②】 「五行思想」
五行とは、中国古来からの自然思想であり、この世の万物は「木・火・土・金・水」の5つの要素から成るという関係性を表すものです。五行には、相手を生かし運気を強める「相生(そうじょう)」の関係、相手の良い部分を奪ってしまう「相剋(そうこく)」の関係があります。
◎相生関係
例えば、鉱物は土の中から生み出されるため、土から金が「生まれる」という気が生じます。
このように、相手を生かす関係を「相生」と呼びます。相生の関係は、上の図でいうと時計回りに進んでいく関係です。
◎相剋関係
火と水の関係、金と木の関係のように、互いに衝突し合う関係性を、相剋関係と言います。
例えば、火に水をかければ火は消えてしまいますよね。また、ノコギリ(金)は木を切り倒してしまいます。このように、相手の良い部分を剋してしまう関係を「相剋」と言います。
「相生」の関係を上手に活かし、「相剋」となるような関係を避けることが、風水を実践していくための基本となります。
日本と中国の風水、
方位の分け方も違う
風水と聞けば多くの人が九星気学や家相を思い浮かべると思いますが、本来、九星気学や家相と、伝統的な中国の風水は似て非なるものです。例えば、方位の分け方一つをとっても違いがあります。
祐気取り(ゆうきとり)、お水取り(おみずとり)に代表されるように、方位術を得意とする九星気学では、東西南北を30度、東南・西南・西北・東北を60度で分けます。
※九星気学をベースとした日本の風水や家相では、八方位(各方位45度ずつ)を用いる場合もあります。
一方、伝統的な中国の風水では、八方位を45度ずつで分けるのが基本です。八方位45度を、さらに15度ずつに分け、全部で24方位(15度×24方位=360度)を使用し、吉凶を判断する方法があります。
方位術、九星 占い、家相など、日本にはさまざまな占いが存在します。それらは、占う対象や見方、判断法が異なるだけであって、占術にはそれぞれの良さや持ち味、得意分野があります。
日本で風水と言えば、九星気学や家相 の考え方をベースとしたものが主流ですが、それとはまた異なる見方をするのが中国に伝わる伝統的な風水術です。
まとめ
ひとまず、一言に「風水」と言っても色々なやり方や考え方があるんだなぁと感じていただけたかと思います。どの風水においても共通して言われることは、気の流れを整え、環境を活かすことです。
そのためにはどうすればいいのでしょう? そんな皆さんの疑問を、なるべく身近に感じられるところからお伝えしたいと思います。
※「風水のツボ」の内容につきましては、風水コンサルタント・内海莉絵氏による原稿・監修の下掲載しておりますが、風水という特性上、その効果や再現性を保証するものではございませんので、あらかじめご了承ください。